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マンステールのアフィナージャー(熟成専門)で作業を見せてもらいました。フランス・アルザス地方 2008年6月



6月17(火)の午後、ホテルの隣村(Lapoutroire)に行きました。ここには、昨日の夕食で食べたマンステールを生産しているDODINという会社の工場があるのです。ここのマンステールを食べた時、本当に美味しいなぁと思いました。だから、一体どのようにマンステールを作っているのかを知りたくなりました。
 
午後2時半ならきっと会社には誰かがいると思いました。見せてもらう予約はしていませんでした。でも、「私達はフランスから日本においしいチーズを輸入している者です。」という内容の手紙を美奈子店長が書いていて、それを何枚もコピーして日本から持って来ていました。それを最初に会った会社の人に渡したところ、「ちょっと上司に聞いてみるね。」と交渉してくれました。現れたのは、ERICさんという下の写真の男性でした。とてもかっこいい紳士でした。私達が、工房に入る前に靴カバーと帽子、コートを貸してくれました。では、工場の中に入りましょう。

チーズ熟成会社というのは、とても必要な仕事だと認識しました。

この会社では、チーズを一から作っていません。地元の協同組合のチーズ工場からまだ完成していない若いマンステールを仕入れています。その組合は約100戸の農家で組織されていて、彼らのミルクでマンステールを生産しています。エリックさんの会社では、その出来立てのまだ白いマンステールを2〜3週間かけてゆっくりと熟成させて、取引先に出荷しているのです。サパンという針葉樹の棚には、ぎっしりとマンステールが並んでいます。その部屋の扉を開けるとすぐにチーズの香りがしていました。多くのチーズがそうですが、「この香りがマンステール!」という特別な香りがあるわけではなく、一つ一つのチーズの香りは違っています。しかし、この匂いはいい工場であることを物語っていました。

DODIN社のマンステールはいろいろなスーパーにもありました。

この会社では、機械化はほとんどされていないようです。大勢の人手によってチーズを洗ったり、裏返したり、棚に並べたり、包装紙で包んだり、出荷する箱に収めたりしていました。では、その一部の作業の様子をどうぞ

棚にサパンを使っているのが、マンステールに色が出る一つの原因です。

マンステールを洗う時には、青いゴム手袋をはめて、一度に2個のマンステールを持って、表と裏と側面を洗っていました。。洗うのは、1週間に2,3回の頻度だそうです。

だたの水で洗います。塩は入っていません。

下の写真は、マンステールの出荷作業をしている部屋です。真ん中の男性は、左右に立つ2人の包装紙の上にマンステールを載せます。右を見たり左を見たり、とても忙しそうに動いています。紙を折りながらそのチーズを包んでいきます。どの人もとても素早い手つきです。そして、最後に包装紙の裏側に日付のラベルを貼りました。

5人が息の合った作業をしていました。

エリックさんは、美奈子店長に「包んでみないか?」と声を掛けました。どう包んだらいいのか分からないので、包み方をやって見せてもらいました。それが下の写真です。

何回やっても同じ場所で折り目があって、まさに職人技という感じでした。

この会社の素晴らしいところは、多くの作業を機械ではなく、人間が行っているという事です。しかし、「作業員が多い」=「コスト高」とマイナスに感じる人も多いと思います。でも、私たちはそうは思いません!包装するのもチーズを洗うのも、・・・ほとんどの作業は機械でも出来ますが、一つ一つの作業の質は大きく違うと思うからです。たとえば、木の棚の上に置いてあるマンステールなら、時にはその木くずがチーズの表面に付いたり、少し中にめり込んでいることもあります。髪の毛や異物も付いている場合もあるでしょう。でも、人間ならそうした事も目で見て気が付いて、すぐに取り除けるのです。今日、日本ではいろいろな食品の中に異物が混入していたというニュースを見聞きしますが、その多くは機械に食べ物を作らせている食品会社の製品なんだと感じています。機械には愛はありませんが、人には愛があり、食べる人の事を思って作っている食品が安心できるものにつながると思います。「最後に頼れるのはやっぱり人だ。」ということを改めて感じた訪問となりました。


マンステールのアフィナージャー(熟成専門)で作業を見せてもらいました。フランス・アルザス地方 2008年6月