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シャウルスAOCの目利き。(チーズの知識シリーズ)



今回はフランスのチーズ、シャウルスAOCの目利きについてのお話です。写真を見ながらいい状態のシャウルスを見分けるポイントを学びます。下の2枚の写真のシャウルスが、いい状態のシャウルスです。よく見つめておいてください。そして、どうしてこのシャウルスがいい状態だといえるのかその理由を考えておいてくださいね。(正解は、このページの後半にあります。)

シャウルスの全景。これが良い状態のシャウルスです。

シャウルスを切った写真。見事です。


では、はじめにシャウルスが、フランスのどこで作られているかを見てみましょう。まず、フランスの郵便番号付き地図を開いて、その地図からシャウルスの生産地域を探してみましょう。このシャウルスのCEE番号は、F10.399.01ですので、地図の中から10番を探します。・・・・・・・・・・・。


見つかりましたか? 地図の半分より上、そして中心よりも右の方にありますAUBE県(10番)で作られていることが分かります。シャンパーニュー・アルデンヌ地域です。まずシャウルスの味についての話です。シャウルスは、カマンベールやブリーなどの一般的な白カビとは全く違う味と性質を持っています。同じ牛乳を原料にしていますが、作り方が違うから性質も違うのです。また、食べる時期も違います。上の2枚目の写真のように全体に芯がはっきりあるうちが食べ頃です。一方、カマンベールやブリーなどは、こんなに芯があると酸っぱすぎて美味しくないので食べません。芯が無くなるまでしばらく置いて熟成して柔らかくなったものを食べます。このように一般的な白カビチーズは、カスタードクリームのように切り口から流れるくらい柔らかくなる頃がおいしく、その食感を楽しみます。一方、シャウルスは芯があるので、粉っぽいような、例えば熱々の粉吹き芋のようなホクホクとした食感が持ち味なのです。とろーりとはしません。シャウルスに似た食感がある牛乳製のチーズとしては、サンマルスランやサンフェリシアン、ラングルAOCなどがあります。またやぎのチーズは全般にシャウルス同様にホクホクした食感があります。こうした食感のお陰で食べた後の切れが良く、それがシャンパンに合うチーズとしても重宝されている理由でもあります。


それでは、いろいろ正解です。

 

ポイントは、3つあります。まず、シャウルスは、下の写真のように輪郭がくっきりとしていなくてはいけません。つまり、整った形の円筒形なっていることが大事です。それは、例えば写真の1番のところのように、角が丸まらずビシッと90度になっているかどうかを買う前にチェックします。


良いシャウルスに見分け方、その1

2番目は、下の写真のように切り口を見て、その断面の表皮に近い部分に大きな隙間が出来ていないかが大事です。このように隙間の無いシャウルスがいい状態です。上の写真の赤丸部分は少し隙間が出来ています。でもこの大きさでしたら問題はありません。しかし、この隙間がもっと大きかったり、上から下まで長く伸びているようなシャウルスは良くないです。それは、熟成途中で温度変化が大きくなった時があったことを示しています。隙間は、表皮に近い部分のチーズが溶けてしまった証拠です。しかし、この下にある写真では、側面でも底辺でも表皮の内側のチーズに隙間が無くぎっしりと詰まっていて、形も整っていることがよく分かります。だからこのシャウルスはいい状態と言えるのです。


良いシャウルスに見分け方、その2と3。

最後の3つ目は、上の写真の3番の部分です。チーズの断面を見た時に、シャウルスの内側の3番辺りの部分が、粉が拭いているような芯があることが大事です。カマンベールのようにクリームが融けたような均一な組織になっていては駄目です。粉っぽくなっているのがいいのです。2番の表皮に近い部分は、色が黄色でクリームのように組織が均一になっています。2番はこれでいいのですが、この3の部分はそれと明らかに違う組織で芯になっていることが大事なのです。この芯の面積が広くあるのが良いシャウルスの条件なのです。まとめますと、「輪郭がはっきりとしていて、しっかりとした芯があり、ホクホクした食感がある。」それがいい状態のシャウルスなのです。この言葉を思い浮かべ、もう一度上から2番目の写真(断面図)を見てみてください。この条件を満たしているシャウルスであることが分かると思います。



(ご注意)誤解の無いように付け加えますが、シャウルスを買う時に、この3つの条件を満たすものは、日本ではなかなか見つからないと思います。満たさなければ買ってはいけないということではありません。今回の話を参考にして少しでも理想に近いいい状態のチーズが選べるようになれたら幸いです。また、形というものは時間と共に変化していきます。チーズも食べ終わらない間に、形が崩れていき、最初のいい状態から味も落ちる場合もありますが、極端に美味しくなくなった訳でなければ、もちろん食べていいと思います。チーズに限らず食品を選ぶ場合には、自分の頭の中にその食品の理想の形があることが大切なんだと思います。積み重ねた経験と繰り返しの学習が目利きを可能にする確実な道だと思います。




チーズマーケットでは、いろいろなチーズの目利きが出来るように、今後もチーズの良し悪しの判断が難しいチーズから順に取り上げてご紹介していきたいと思います。その為にも日々のチーズの手入れの合間に、よい教材となるチーズの写真をデジカメで記録して貯めておこうと思います。美しいもの・素晴らしいものには、その理由があると思います。(逆の場合もそうですが。)どうぞ、お楽しみに。



シャウルスAOCの目利き。(チーズの知識シリーズ)