| TOP |  お買い物方法 |  ワインの話 | チーズの話 |

チーズに限らず食品は、賞味期限内であってもカビが生えることはあります。毎日の手入れが必要なのです。


4月6日の昼頃、3月12日(2008)にネット店でチーズを購入された方から、「買ったチーズにカビが生えてきた。」というメールを頂きました。下の写真にあるとおり、確かにこのハードチーズの賞味期限は、2008年4月26日です。
 
今、この記事をお読みになられている人に、誤解が生まれない様に私の考えだけではなくて、この方から頂いたメールも全て載せて出来るだけ公平性を保ちたいと思いましたが、その方からの強い要望で載せないことにします。
私の言葉でこの方からの苦情を述べますと、・・・・「先日発送したチーズのうち、オランダのハードチーズが、冷蔵保存で未開封で賞味期限前だったにもかかわらず、青カビが生えました。未開封なのに到着直後にはなかったカビが生えていて、とても悲しいです。」という内容です。

この方から送られてきた写真。今日は4月6日。「賞味期限が4月26日のハードチーズですが、写真のように冷蔵庫で保存していてもカビが生えてきました。」とショックのご様子でした。

とても困った問題が起きました。この方には嫌な思いをさせて申し訳なく思います。でも、事実としてチーズにカビが生えてくるのは、当たり前といいますか自然なことです。チーズマーケットでも、ほぼ毎日全てのチーズのラップやアルミ箔やチーズペーパーを交換しています。とても手間がかかりますが、品質を保つためには必要なことなのです。もしそれをしないでチーズを数日間でも包みっぱなしにしていると、このチーズの様にカビが生えてくるのです。でも、それをそのままお客さんに言っても納得してもらえないと思いますし、怒られるかもしれません。この方がおっしゃる通り、「チーズの封も切っていない、冷蔵庫にも入れていた、しかも賞味期限内だった。」・・・なのに、こうしてカビが生えて来たのが許せない気持ちも良く分かります。確かにこの方に何の落ち度もありません。むしろ、この問題を引き起こした最大の原因は、私達の説明不足だと反省しています。
 
今は、この問題を前向きに考えるしかありません!きっとこの方も自分の時間とエネルギーを使って、私達にこの事を知らせてくれたのですから、その気持ちにも応えたいと思いました。問題があっても何も言わずに買わなくなる人が多い世の中で、この方は何とかチーズマーケットを良くしたいという思いがあったのだと感じました。だから何とかこの方に真正面に向き合って対応したいと思いました。そして、いろいろと考えた結果、このお客さんに正直に全てをお知らせして納得してもらうのはもちろんのこと、今後起こりうるこうしたトラブルもゼロにしていかなくてはならないと考えました。そこで、このページを作ることにしました。
 
チーズマーケットでは、今回の事を大いに反省して次の3点を今日から実行することにします。
 
1.カットチーズの賞味期限を今付けている表示よりもさらに短くします。
2.ネット店のお客さんには、「チーズをいい状態に保つ方法(下段に記載あり)」を書いた紙を同封します。
3.店頭のお客さんには、それを口頭で説明します。必要な方にはその紙をお渡しします。

この方から送られてきた写真。チーズとラップにある僅かな隙間の空気と湿気をカビは狙っているのです。チーズマーケットのチーズがこんな姿になって・・・・、私達もとても悲しいです。


今回のチーズについてご説明します。このチーズは、輸入した時点でそのBest−Beforeは、2008年6月13日でした。この方に発送したのは、3月12日。その時点でもこのチーズには約3ヶ月(90日)の期限がありました。一方、この方にお送りしたチーズの賞味期限は4月26日にしました。チーズマーケットでは、ハードチーズの場合はチーズをカットした日から賞味期限を最長で45日にしています。(カマンベールの様な1個売りのチーズで、フランスなどのメーカーが付けた期限のあるチーズの場合は、その日に合わせています。)日本では、カットチーズの賞味期限を何日にするかと言う統一された法令はありません。チーズをカットして販売するという業務を行うチーズマーケットは、チーズを作っていないけれど、「乳製品(チーズ)製造業」として札幌保健所から営業許可を得ています。日本ではそうしたチーズの賞味期限は、各々のチーズ製造業者に一任されているのです。一般的な食品では、その賞味期限が例えば10ヶ月あるとすると、メーカー側ではその0.7か0.8を掛けた期限(7ヶ月とか8ヶ月)にすることが多いようです。それは、消費者の中には賞味期限が1ヶ月ぐらい過ぎても大丈夫だと判断して食べる人もいるということも想定している様です。今までのチーズマーケットが付ける期限の場合は、0.5ですが、今後は、0.4か0.3を掛けた日付にしたいと思います。また、今回のチーズは、真空包装ではなくて、簡単なラップ包装をしてお送りしました。反省すべき点は、このラップ包装で賞味期限を45日に設定したことです。チーズとラップとの僅かな隙間にある水滴と空気と栄養でカビが生え易いことを考えれば、発送後10日とか20日という様にさらに短くすれば良かったと思いました。(今後、チーズマーケットは賞味期限をさらに短くしますが、だからといってチーズを美味しく味わえる期間も短くなるわけではありません。この方の様にチーズの包装を替えないまま冷蔵庫に入れてしまわれてる場合には、現状の長い賞味期限のままでは、こうしたトラブルを招いてしまうと反省しました。)

では、元々メーカーが付けた期限が90日間あるのに、どうしてチーズマーケットでは、約半分の日数にしているのでしょうか?それは、この6kgの塊のチーズをカットして包装して売るので、それを全て売り切るまでに2週間ほどかかるので、それを見越して常に短めに付けているのです。しかし、日本の消費者の方に理解して欲しいのは、私達が短めに付けた賞味期限内であっても扱い方によっては、簡単にチーズにカビが生えるという事実です。「チーズにカビが生えた。」=「このチーズはもう食べられない。」というものでもありません。大抵はその部分だけを多めに取り除けば、残りのチーズは美味しく食べられます。一方でチーズにカビが生える事は、そのチーズに防腐剤などが含まれていないことの証ですし、カビが生えていない様に見えても、実際にはいろいろなカビの胞子がチーズに限らず全ての食品や机や皿にも付着していることも現実です。見えないから気付かない、だから平気とか気にならないだけの話しで、我々人間も多種多様な無数の微生物に取り囲まれて毎日暮らしているのです。だからそうした少しでもカビが生えたチーズを汚いだとか危険だと決めるのは行き過ぎだとも思います。要はうまくチーズやカビや微生物と付き合っていく術を身に付る事がこうした問題の解決につながると思います。
 
チーズマーケットでは、何としてもチーズにカビが生えるのを阻止するといった強硬な手段(例;防腐剤の添加)はやりません。またチーズの味が落ちる場合が多いと知っているのに、敢えて全てのチーズを真空包装に変更して、ただいたずらに賞味期限だけを延ばして売る方法も間違っていると思います。なるべくチーズがいい状態に保たれるように簡単なラップ包装だけに留め、チーズに付き物のカビと上手に付き合って行く姿勢が大事だと思います。その為には、チーズを正しく取り扱う知識をもっと広く消費者に告知すべきだったと反省しています。これまでネット上で10年間、チーズについての話題を数多く取り上げてきましたが、それでも伝わっていなかったんだと思うと、かなり落ち込みました。それでは、どうすればチーズのカビを防げるのでしょうか?それは、チーズマーケットで毎日やっているのと同じ様に、チーズをずっと包まれたままにせず、毎日新しいラップに交換する事なのです。チーズを買った時のラップや真空包装もすぐに取り除き、新しいラップに変えるべきなのです。それがナチュラルチーズを美味しく長く楽しむコツなのですが、それを伝えることが不十分だったのです。本当に申し訳ありませんでした。

このたびは当店の商品をお買い上げいただき、どうもありがとうございました。 宅配業者さんから商品を受け取られましたら、まず中身を確認をされて、すみやかに全ての チーズのラップや真空包装を新しいラップと取り替えてください。(購入時の包装のままで チーズを保存されると、例え冷蔵庫に入れてあったとしても、さらに賞味期限内であったと してもカビが生える事があります。)最低2日ごとにラップを取り替えていただければ、不要なカビの発生を遅らせることができます。何かご不明な点がございましたら、どうぞおたずねください。

このチーズを取り扱うコツを書いた紙をこの方にもお送りしていればと思いました。メールを頂いた後にすぐにお電話をして説明をして嫌な思いにさせてしまったことをおわびしました。チーズの性質上、今回の場合の様に例え賞味期限内であってもチーズにカビが生えることは誰にも止められません。しかし、毎日チーズの包装を取り替える事でカビの発生を遅らせることは可能なのです。そして、カビが生える前においしくチーズを味わって頂けたら幸いです。
 
(追記)このページを一般に公開する前に、最初にこの方に見ていただきました。その後で、今回の件は、これで終わりにしたいとメールでお返事を頂きました。この方とも良い関係が長く続くように努力していきたいと思います。忘れられない一日になりました。(22:10 4月6日)


チーズに限らず食品は、たとえ賞味期限内であってもカビが生えることはあります。毎日の手入れが必要なのです。