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見た目がきれいな色のオリーブには劇薬が使われています。



NaOHとは、水酸化ナトリウム。強アルカリ性の劇物です。 水酸化ナトリウムは、手につくと危険です。

左の写真はあるオリーブの加工場の壁に貼ってあった注意書きです。NaOHというのは、水酸化ナトリウム。白い錠剤のような粒で空気中の湿気で溶け出す、とても強いアルカリ性の劇物です。皮膚につくと皮膚が溶けてやけどのようになります。(中学校の理科で習った中和反応の塩酸と反対の性質の薬品です。)では、どうしてこんな劇物がオリーブ加工場にあるのでしょうか?(右の写真は日本で売っている水酸化ナトリウムです。)

収穫したてのオリーブ。みずみずしい緑色をしています。

上の写真は、収穫したばかりのオリーブです。とてもきれいな緑色をしています。水酸化ナトリウムをオリーブ加工に使う理由は、次のとおりです。

 

1.オリーブの緑色をきれいに保つため。

2.オリーブの持つほろ苦さを取り除くため。


緑色ではないですが緑オリーブです。 これ以上に鮮やかな緑色のオリーブには要注意。


もしも、オリーブを食べられて、「ぼやーん」とした塩辛いだけの味ならば、それはこうした薬品処理をされたオリーブだと思います。すぐ上の写真の右側のように緑色が鮮やかなものが、そうしたオリーブであることが多いです。(色だけで判断できない場合もあります。詳しくは次号に。)片や、左のオリーブは、ナチュラーレ製法と云いまして、緑色は失われ茶色っぽいですが、日本の漬物と同様に塩水で漬けただけなので、オリーブという果実がもつ酸味やほろ苦さなど全ての味を備えた自然の味わいで、とてもおいしいです。茄子の漬物だって、時間とともに鮮やかな紫色が無くなる様に、オリーブだって塩漬け製法ですと、緑の色もあせるのは当たり前なんです。それをこの薬品で防いでいるのです。
上の2つの理由を聞くとなるほどだなぁと思います。しかーし、いいことばかりではありません。きれいな色を得るからには、失うものもあります。それは、・・・。
 
ずばり、おいしくないと思います。りんごをかじれば、リンゴ酸のすっぱさを 感じます。オリーブだって果実ですから、酸味があって当りまえ。でも、水酸化ナトリウムという強アルカリ性の溶液に8時間も漬けるのですから、元々果実が持つこうした酸味が薄くなったり、ほとんど失われるから味のバランスが崩れてしまい、美味しくないのです。リンゴをかじって酸味がなければ、おいしいと感じないのと同じです。
 
 
では、どうして味が落ちる製法と知りつつ、こうしたオリーブが作られるのでしょうか? それは、食べ物なのに、味は置いといて見た目のよさを最優先する社会があるからです。需要があればそれを作る工場も現れます。日本という国は、果物でも野菜でも肉でも、何でも見た目の「きれいさ」を最優先する社会です。それ故、見た目のきれいな右の写真のような緑色のオリーブが支持され、流通する可能性が非常に高いのです。「見た目がよいとよく売れる。」のも現実です。またそれを食べた日本人のほとんどは、小さい頃からオリーブを食べ慣れていないので、「味が落ちたオリーブを食べても、どうせ分からないだろう。」という売り手側の思惑もあるのでしょう。だからこうした見かけのいい色をしているけれど、味の悪いオリーブが大量に出回ってしまい、それを食べた日本人は、「オリーブって、日本人の口には合わないものなのね。」なんて、勝手に思い込んでしまうのです。同じように、間違った方法で輸入され、間違った品質管理をされた「塩辛いだけのひどい味の青カビチーズ」を食べて、「ブルーチーズは美味しくないもの。」と記憶して二度と食べない日本の消費者が実に多い事を私達は知っています。逆に新琴似の店頭では、おいしいブルーチーズを試食されて、目が輝き出してお帰りになるお客様は、年々増えている気がします。
 
さて、この薬品を使った緑色のオリーブ、売り物用に作られるだけで、何とこの生産者は、食べないそうです。自分で食べるのは全てナチュラーレ製法のオリーブだとか。そんなオリーブて一体何なの?と考えさせられました。日本っていう国は、自分が食べないものを平気でたくさん売る食品大手の会社がとても多いような気がしています。


見た目がきれいな色のオリーブには劇薬が使われています。