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藤九郎という品種の銀杏の作り方 その2 大分県九重町 2007年11月20(火)



ここまでの工程で、ぎんなんの種の周りに付いていた皮などはきれいに落ちました。次は、品質テストを行ないます。どうするかと言いますと、下の写真の様にぎんなんを水に落とすのです。しばらくして浮いてくる銀杏は、軽いのでいけません。それらは、虫などに食べられていたり生育が思わしくないものだからで、品質が低いのです。そこで、こうした銀杏をざるですくっては畑に捨てるのです。2度の洗浄の度に吉武さんは、やっていました。

せっかく集めたぎんなんもこうして品質が悪いと売らずに廃棄する吉武さんのその勇気が素晴らしいです。

「吉武さん、そこまでしなくても・・・。」と思うほど、一所懸命に作業をしています。この作業をすることで、吉武さんの銀杏の全体の質が上がり、それが信用へとつながっているのです。次に選別された銀杏を再び洗浄機に入れます。

水も冷たくて、風邪を引かないか心配になってきます。

それを粉石鹸でしっかりと洗い、滑りや銀杏の臭いを取り除きます。ぎんなんの殻はとても密で硬く、中にまで石鹸が浸み込む事はないそうです。安心しました。

洗濯物を洗うのと同じ要領です。

吉武さんの住む九重町では、住民から集めた天ぷら油の廃油を使って石鹸を作っているそうです。手洗いや洗濯物にも使えます。

この石鹸を使っていると言いながら、ラベルを見せてくれました。

ぎんなんを洗ったら、流水をかけながら使った石鹸を十分に洗い流します。すすぎは、2回行なうそうです。こうして、あんなに臭くてべたついていた銀杏が、綺麗さっぱりとなりました。思えば随分と手間と時間が掛かったなぁと思い出しました。(こうした洗浄作業をしないで漂白剤を使う生産者もいるそうです。食品に漂白剤は駄目だと思いました。色を白くすると見た目が良くなり、売れるからだというのが言い分だそうです。)この話を聞いて真っ白いぎんなんは危ないと思いました。

もうぎんなんの臭みも石鹸の臭いもしませんでした。水は吉武さんが3km先から引いてきた山の水を使っています。これがまた美味しい水なんです。

この後は、低温での乾燥を行ないます。28度以上になると銀杏は発芽して風味が落ちるので、24度ぐらいの冷風で一晩ほどゆっくりと乾燥させるそうです。下の写真がその乾燥機です。一度に100kgほどの銀杏を乾燥させる事が出来るそうです。

専用の乾燥機です。高そうな機械です。

翌朝、再び作業場に行くと、吉武さんがサイズ分けをしていました。下の写真のような道具を使って、銀杏をM、L、2Lの3つに分けていました。この穴がたくさん空いた道具は、天井からゴムでぶら下がっているので、その度に道具を持ち上げる必要が無いので、楽に作業が出来るように工夫されていました。

次回は、この選別作業をやってみたいと思いました。ふるいにかけるのって楽しそうですね。

しょうたろうも朝ごはんを食べて、のんびりとしています。そろそろ帰る時間が近づいてきました。

吉武さんの愛犬、しょうたろう。散歩に連れて行ってくれるので、私達を好きになったのかもしれません。

ついに目標だった50kgの銀杏が仕上がりました。吉武さんの話によると2Lサイズは、収穫の2割弱しかないようですが、その分高値で売れるということでした。サイズに関係なく味は、どれも同じようですが、やはり見た目も大事なようです。それにしてもこんな立派な銀杏は私も見たことがありませんでした。

これが完成した銀杏、藤九郎です。農薬も化学肥料も一切使っていません。まさに天然です。

札幌に戻り、さっそく取引きをしている飲食店さんに持って行きました。みんなとても喜んでくれて、私も嬉しくなりました。チーズが本業なのに、今ではアンチョビやオリーブやジャムなど、私が良いと思ったものは何でも買ってくれるのが、とても嬉しいのです。商売ってやっぱり人間を売るんだなぁと実感しています。でも、これで満足しているわけではありません。「変なものを売ったらもう次は無い!」という緊張感で仕事に向かっています。こうして1週間で90%(45kg)の銀杏が売れました。後は、店頭のお客さんとネットのお客さん用と自分が食べる分で仕舞ってあります。うーん、その前にネットでも買えるようにホームページを作らなくては、・・・・。こうして、私の初めての銀杏の収穫旅行は、大きな成果を得ることが出来ました。それにしても生産現場を見るのは、とても面白いです。


藤九郎という品種の銀杏の作り方 その2 大分県九重町 2007年11月20(火)