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パルミジャーノレッジャーノの味わいは、重労働の末の結晶か



パルミジャーノレッジャーノを作るには、朝早くから夜遅くまで毎日とても長い時間を働かなくてはなりません。朝6時半にモデナのホテルを出てタクシーで20分。7時前に着きましたが、もう二人チーズ職人さんは働いていらっしゃいました。

この時計の時間は、朝7時40分です。 この時計の時間は、夜の朝7時15分です。

上の2つの時計は、朝と夕方に私が撮ったものです。お話を伺うと作業は朝6時半ぐらいから始まり、終わるのは夜の8時前。うーん、実に13時間半。これでは、体が持ちません。そこで昼休みが3時間あるそうです。それにしても10時間半の実働ですが・・・。

 朝搾ったすぐのミルクをチーズ工場に運びます。あいにくの雨で寒いです。  夕方の搾乳を終え、すぐにミルクがチーズ工場に運ばれます。影の長さが夕暮れを物語っています。

どうしてこんなにも働く時間が長いかと申しますと、パルミジャーノレッジャーノは、朝搾ったミルクと昨晩に搾ったミルクのうちクリーム分を取り除いたミルクを半々に混ぜて作るので、その間が12時間以上開くから拘束時間も長くなるのです。その搾乳は、一日2回で朝4時半と夕方4時半です。隣接する農場の方がミルクを搾り、それを彼らチーズ職人が毎回受け入れ、いいチーズが出来るようにその都度加工処理をするのです。

大規模なチーズ工場ですと、シフトを組んで労働時間を短縮したり、経験の浅いアルバイトやパートさんを雇い、軽作業をやらせますが、このチーズ工場ではたった二人の職人さんだけです。だから高品質なのですが、それだけ負担も大きくなるのです。パルミジャーノレッジャーノに限らず、牛を育ててミルクを作り、さらにチーズまで一貫して作るこうした小さなチーズ工場の場合、365日休むことはありません。確かにこうした職人さんの給料は高いようですが、とてもきつい仕事だと云えます。本当にパルミジャーノレッジャーノが好きでないと、本当に自分の仕事に愛情が持てないと、毎日毎日長時間で働くことは出来ないと思いました。

これから1ヶ月をかけて、この小さなチーズ工場でいかに手を掛けておいしいパルミジャーノレッジャーノが作られているのかをHP上や店頭で報告して行きたいと思います。今回の延べ25時間に及ぶ取材でいろいろなことが明らかになりました。一つの理想が形になったこのパルミジャーノレッジャーノの全貌をお伝えして参りたいと思います。この取材を終えて思ったことは、ここのパルミジャーノレッジャーノと出会えたことです。それには実に素晴らしいイタリア人との出会いがありました。この出会いに改めて深い感謝をしました。524社もあるパルミジャーノレッジャーノの工場。その中でたった一つのこのチーズ工場のパルミジャーノレッジャーノに出会えたとは、特別な運命を感じます。これほど小さく、またこれほど高品質のミルクを使い、これほど丁寧な作業の全てを一人の熟練したチーズ職人が行う所を他に探すことは困難だと思います。今までだれも成し得なかった正に別次元の高品質パルミジャーノレッジャーノの世界を切り拓いたチーズ工場といえるでしょう。高い理想を掲げ、それに邁進するとても大きな塊の情熱が無ければ成し得なかった世界を垣間見た気がしました。

(追記)朗報です。この二人の職人さんの一人が、来月5月に最高の栄誉であるパルジャーノレッジャーノの職人賞を頂くことが決まったそうです。授賞式の写真が届いたら、お知らせしたいと思います。 「ちゃんと神様はいつも私達を見ている。」・・・と思いました。おめでとうございます。


パルミジャーノレッジャーノの味わいは、重労働の末の結晶か