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大きな会社の食品は、もう輸入したくありません。



5月7日の今日は、CIBUSの会場でジョルジョのお勧めの肉製品を見に行きました。そのブースに行く途中にいろいろな大手メーカーのブースを見かけました。下の2枚の写真がそうした大手メーカーのブースです。

体育館のような高い天井まである大きな看板とディスプレー。相当なお金がかかっているなぁと思います。

近くを歩いている人の大きさと比べると、ブース自体が如何に大きいか分かるかと思います。この肉製品の会社のブースがある建物は、東京ドームの半分ほどの広さがあり、いろいろな展示会場の中で最も広く、天井高も体育館ほどもある感じです。

サッカーのスタジアムで見かけるような大きな電光掲示板に会社の宣伝の言葉が次々に流れていきます。


どの会社も競って派手で大きな装飾をしています。随分とお金がかかっているなぁと思いました。しかし、このページの写真の会社が悪いと言っているのではありません。こうした大手メーカーの食品を必要とする会社もたくさんあると思います。例えば大手航空会社の飛行機に乗れば、出てくる食べ物はこうした大きな会社製がほとんどだと思います。そうした食品でないと、同じものを数百人分も用意することは難しいからです。こういう点からも、私達チーズマーケットが輸入することはないと考えています。彼らとは、食品に対する考え方や目指す道が最初から違うのだと思います。経験が浅かった5年前には、こうした大手メーカー製プロシュートを輸入していました。でも今は、チーズもオリーブオイルもその他の食品も作り手の顔が見えるメーカーのものだけを輸入しています。こうした選択が、私達の目指す高品質な食品だけを売る店へと変えていったのだと思います。

ワゴンがたった一台。自分で作ったサラミを並べて、紹介する職人さん。


それは例えば、上の写真の様な人が作ったサラミを輸入したいと思うことなのです。このブースは主にラッツィオ州にある個人商店が集まっていました。彼らはたった1個の台に自分のサラミを並べ、訪問者に試食をしてもらいながら商談していました。自営業なので担当者が年々変わることもありませんので、長いお付き合いができます。作っている人が、営業もやっているので、輸入に関していろいろな疑問が出た時も、いつでも答えてくれます。こうしたことが私達の安心につながり、それがひいては日本のお客さんへの安心につながるのです。
  
この様に取引する上での長所が多いのが、こうした小さなつくり手なのです。そして、さらに言うと、私達がずっと付き合いたいと思うような人間が作った食品を選べば、高品質なのにそれほど高くない良い食品が手に入ることが分かりました。海外では、言葉が100%通じない分、相手がどんな人間なのかは少しの時間一緒にいるだけでよく分かります。と同時に相手も自分達がどんな人間なのかがよく分かると思います。そして、お互いに話をしてその雰囲気から付き合いたいと思えば、その仕事はうまくいくのです。こういう視点に立てば、例えば値引きを強く要求したり、急がせたりするような人では、長く付き合って行くことは困難だと知るのです。そして、今では私達は輸入先も販売先も共に素晴らしい方達ばかりに囲まれて、ぐっと楽しく仕事が出来るようになりました。それは私達自身の人間力が、以前よりもぐっと高まったからでもあると思います。日本人の中でだけいるのではなく、こうして時折異国の地の人達の中に囲まれてみると、自分を客観的に見つめ直すことが出来て、自分に何が足りないのかが良く分かります。語学などの技術面の事ではなく、相手からもずっと一緒に居たくなる様な人間なのかどうかが分かります。まだまだ人間力が不足していることが分かるのです。もっともっと豊かな心を持った人間に成りたいと思います。
  
こうした素晴らしい人間に会う事が出来るのが、この仕事の良いところです。そして、素晴らしい人間は、必ず美味しいものを作ることが出来ます。深い愛が無いと美味しいものは作れません。と同時に一方で、美味しいものを作るには多くの手間と時間がかかりますし、一度にたくさんの量も作れません。今では私達はそうした事実をきちんと理解できたので、このようなとても小さなメーカーの食品を探し求める活動をしているのです。その成果を数ヶ月以内に形にして行きたいと思います。


大きな会社の食品は、もう輸入したくありません。