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Buzietの町には、はちみつを売る家族がいます。ペイ・バスク地方 2007年8月



8月12日(日)(2007)の朝、ArudyからOloronに向かう途中の道(D920)で「はちみつあります。」の看板を見つけたので、寄ってみることにしました。看板はとても簡単なもので、下の写真のようにMiel(はちみつ)とだけ書かれたものでした。

木製の電信柱にあるはちみつの看板。

その看板が指す方向を見ると下の写真のような民家があります。でも、入り口には店の名前もありません。大丈夫かなぁと思いながらも、ここで怯まずに重い門戸を開けて中に入りました。

どう見ても店には見えない入り口です。

「こんにちは!」と家の中に向かって声を掛けると、奥さんらしき女性が出てきました。「はちみつが欲しいのですが、・・。」と言うと、「中へどうぞ。」と案内してくれました。

家の玄関にも看板はありません。でも、勇気を出して声を掛けましょう!

中に入ると本当に民家でした。下の写真の右側には台所があります。テーブルの上には、パンやポットやコーヒーカップがそのままです。私達の声を聞いて、ご主人と息子さんもやってきました。写真に見える入り口のある部屋は息子さんの部屋のようです。ここは日本で言うと、”店”ではなく、思いっきり一般家庭の”居間”でした。このお父さんが、近くの山に幾つかの巣箱を置いて、はちみつを集めて瓶に詰めて売っているそうです。それぞれのはちみつが、どこら辺で集めたのかを壁に掛けてある立体地図を指で指し示しながら教えてくれました。フランスでこれまでいろいろなはちみつを買ったことがありますが、産地が分かったとしてもここの地域産程度でしたが、今回のように巣箱を置いた位置まで分かるはちみつを買えたのは初めての事でした。こういう話が聞けただけでも、ここに来て良かったなぁと思いました。

普段着のままというか力の抜けた仕事ぶりに頭が下がります。

さて、はちみつはどこに置いてあるのかと言いますと、下の写真のように玄関の左側に家具があり、その上にありました。アカシヤやミッレ・フィオーリ(幾つかの花の蜜が混ざったもの)とヒースの花と菩提樹の花のはちみつが並んでいます。味見をしていいですか?と聞くと、それぞれのはちみつの瓶の蓋を開けて、小さなさじで食べさせてくれました。スーパーマーケットよりも安いのはもちろんですが、マルシェよりもさらに安いと思いました。500gの瓶入りで5ユーロ前後でした。さすがは生産者直売の価格です。結局、5本のはちみつを買いましたが、試食で蓋を開けた瓶のものにしました。今回、取材している羊のハードチーズのオッソ・イラティーで、このチーズにもはちみつはよく合うので、ちょうど良かったです。

レジ台はありません。お会計は白い紙にボールペンで書きながら計算して金額を出します。

フランスの地方に行くと、こうした店と言うか売り方があって、そういう場所を看板を目指して探していくのは、宝物さがしの様でとても楽しいものです。日本では電信柱や道路脇に私的な看板を付けたり立てたりする事は難しいですが、フランスでは割と自由にやっているようです。また、今回は特に驚きました。と言うのもただの民家でも商売が出来るいい例で、これこそ無駄なお金を使わずに済むやり方だと思いました。日本では、保健所が食品販売の場合、とても細かくうるさく指導します。手洗いをもう一つ付けなさいとか、便所にも手洗いが別に要るとかいろいろあって、それだけ工事代金がかさみます。しかし、これならそういう事もなくてその分、お客さんに良いものを安く提供できるのですから、お互いの為に良いことだと思いました。でも、普通の日本人のお客なら、きっとあれこれ文句を言うだろうなとも感じました。店の看板が無いだとか、分かりづらいとか、店らしくないとか、営業時間が書いていないとか・・・。いろいろな事を考えさせられた買い物になりました。


Buzietの町には、はちみつを売る家族がいます。ペイ・バスク地方 2007年8月