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サン・ミッシェルにあるオッソイラティー(羊のチーズ)の小さな工場に行きました。ペイ・バスク地方 2007年8月



8月13日(月)(2007)の朝、St.Jean−Pied−de−Port の南隣にある村、サン・ミッシェルで羊のチーズを作っている小さな工場に行ってきました。この有限会社では、主に羊のハードチーズを作っています。信頼のおける30戸の農家からミルクを仕入れて、自分達の理想のチーズに仕上げています。有機農法(BIO)の餌で育った羊のミルクからもチーズも作っています。初めてこの会社のチーズをランジス市場で見た時、一般に出回っているオッソ・イラティーと比べても形や色が全く違っていたので、一体どんな人がどんな場所で作っているのかにずっと興味がありました。

いろいろな大きさと形をした羊のチーズ。右側は1つ500gとお手ごろサイズです。

下の写真が、この会社の建物です。一階が直売店と熟成庫になっています。写真の右に見える坂を上がると2階になり、ここでミルクからチーズの原型を作ります。(事務所も2階にありました。)出来たチーズは、リフトで1階に降ろされ、1階左側にある熟成庫で熟成させた後、トラックで出荷するという流れです。山間の村の為に平地が少ないので、建坪が少なくて済む造りなのかもしれません。

小さなチーズ工場。これくらいなら一つ一つのチーズに目も届きます。

玄関には鍵が掛かっていましたが、ベルを鳴らすと青いつなぎを着たダニエルさんが迎えてくれました。下の写真は、1階の右側にある玄関から入った直売店の中の様子です。取材中も車やバイクでチーズを買いに来る客さんがいました。町から遠い山間の村のこうした場所に買い物に来る人たちがいることや心と時間に余裕があることが、まったく素晴らしいなぁと思いました。ダニエルさんの手が空いた時に改めて挨拶をして、美奈子店長がフランス語で書いたチーズマーケットについての案内のA4の紙を渡すと、私達の訪問の目的が分かったようで、”OKよ。”と快く熟成庫に案内してくれました。

えっ、これが店?と多くの日本人なら思うでしょうが、作業をしながら時々お客さんが来たら売るというスタンスならこれで十分の広さと設備なのです。冷蔵のショーケースはありません。熟成庫からその都度出してくれるのです。^^)

熟成庫の中はとても寒いです。(5度ぐらいだと思います。)2週間に一度の間隔で、ブラシを使ってチーズの表面を拭いて粉ダニを落とします。ブラシだけを使い、塩や塩水は使いません。そうすることで、表皮には常に粉ダニが活動できて、時間と共に表面に硬い皮を形成することが出来るのです。

笑顔が素敵なアン・ソフィーさん。写真を撮る時にダニエルさんと共に何が可笑しいのかずっと笑っていました。

下の写真はブラッシングの様子ですが、台の真ん中にある凹みには、ブラッシングで落ちた粉ダニが溜まっていきます。この粉ダニはどこから来るのかというと、作っている人たちも分からないとのことでした。空気や水など回りの自然からやってきたのだということです。ここでは、この粉ダニは、再利用しないそうで、これらは廃棄されます。北フランスのオレンジ色の硬いチーズ、ミモレットの熟成庫に取材に行った時は、粉ダニは棄てないで新しいチーズの表面に振りかけていたのとは、対照的です。

手の動きは素早いので、撮る時に手を止めてもらいました。

こうして数ヶ月の後、一般的なオッソ・イラティーよりも表皮が赤いオッソ・イラティーが完成します。先週、ランジス市場に行った時に、下の写真のようなタイプのチーズを仕入れてきました。近々、皆さんにもご紹介できると思います。

8月27日には、札幌に到着する予定のチーズです。食べてみたいと思います。

肝心の聞きたかった・見たかったミルクからチーズを作る製造過程は、今の時期は休んでいるということでした。しかし、明日、火曜日の午後2時から一般の人や子供向けに農場見学とチーズが出来る様子を実験で見せてくれるプログラムがあると教えてくれました。それは面白そうだということで、予約をしてまた明日に来ることになりました。旅を実りあるものにする為にも、あまりギチギチに予定を入れないで置くとこうした事にも対応が出来るようになりました。明日、泊まる宿を探さなくては、・・・・。

サン・ミッシェルにあるオッソイラティー(羊のチーズ)の小さな工場に行きました。ペイ・バスク地方 2007年8月