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アーモンドなどのナッツで手や顔にぶつぶつが出る理由は何か?



日本で日頃からアーモンドを食べている人はどれ位いらっしゃるのでしょうか?それほど多くないと思います。私もアーモンドはチョコレートやケーキに入っているのを食べるくらいで、アーモンド自体を買って食べることはありませでした。食べない理由は、これまで心から美味しいと思ったことが無かったからです。しかし、昨年と今年(2005)の2回イタリアのシチリア島に来て、こちらのアーモンドを食べてからは、アーモンドの見方が大きく変わりました。今回は、このアーモンドの事とこのアーモンドから見える日本の食品の問題点について考えてみたいと思います。


これがアーモンドです。ピーナッツ(落花生)のように実は殻で包まれています。

シチリア島で食べたアーモンド。それは日本で広く売られているアーモンドしか食べたことが無かった私や美奈子には驚きの味でした。とても美味しいのです。下の写真のように殻を割ると中からアーモンドが出てきます。右の写真のように、実を割ってみるとアーモンドは白いことが分かります。茶色い渋皮が付いたままで食べてみると、噛むほどに甘い香りとアーモンドの独特の芳香を感じます。冬の朝、ミルクを温めて飲んだときの様なほのかな甘みが口の中に広がります。アーモンドは苦いナッツだと思っていたイメージが変わりました。カシューナッツの様なコクも感じます。アーモンドの香りはシュトーレンというお菓子の香りと言えばお分かり頂ける方も多いのではないかと思います。


アーモンドには、手で殻を割れる柔らかい殻のものととても固いタイプがあるそうです。皮付きでこのまま食べても甘みを感じて美味しいです。

驚いたのはアーモンドの味だけではありません。私達が最も驚いたのは、美奈子の手や顔にナッツを食べた時に出る蕁麻疹といいますか、ぶつぶつが全く出なかったことでした。これが嫌で、美奈子はナッツというナッツを食べようとしませんでした。昨年、このアーモンドをシチリア島のカストロノーヴォ村のアントニーノさんに勧められて食べたところ、この発見があったのでした。このアーモンドは自然のままで、農薬などを一切使っていないオーガニックのアーモンドだと言うことも知りました。ひょっとしてアーモンド自体がぶつぶつの出る原因ではなくて、何か他の理由があるのではふと思いました。


以前、スイスのレティヴァのチーズ工場に取材に行った時に買った、「くるみ割りリス」。もちろんアーモンドの殻を割るのにも使えます。

なぜ日本で一般的に売られているアーモンドを食べるとアレルギーといいますか蕁麻疹のようなぶつぶつが出てしまい、一方このシチリア島のアーモンドは出ないのか?今の私にははっきりとした理由は分かりません。しかし、日本を飛び出してヨーロッパ諸国に来てみると、アーモンドに限らずありとあらゆる食品が、日本で流通しているものとは比べ物にならない程美味しく品質が良いことに愕然とします。食品の呼び名が同じなだけで、中身は全く違うのです。例えばハムやソーセージ、サラミなどの食肉加工品。国産でおしいサラミの名前がすぐに思い浮かびますか?私には思い浮かびません。似て非なるものはスーパーで見かけますが、・・・でもそれは本当のサラミではないことがこちらに来ると分かります。サラミに限らず何を食べても美味しいのがヨーロッパの食べ物なのです。また、肉そのものもヨーロッパ各地で食べる方が断然美味しいのです。しかし、アーモンドのように単に収穫するだけの農産物なのに、何故これほど味が違うのでしょうか?顔や手にぶつぶつが出ないのはどうしてなのでしょうか? 出ないほうが当たり前だと思うのですが、蕁麻疹が出るようなアーモンドって一体どうなっているのでしょうか?


今こうしてヨーロッパからチーズを輸入して販売しておりますと、日本という国全体が、また食品を扱う店や業者や消費者が、食品に対しておいしいという事だけでは満足していない事に気が付きました。例えば包装の美しさや見た目のヴォリューム感、形の良さ、すぐ食べられる・皮がむきやすい・一人前ずつのパックになっているなどの使いやすさや便利さなどなどです。はたまた消費期限の長いものが良いといった事まで、もう美味しさ以外の事を求めすぎるその志向が、日本の食品を駄目にしているのでは?と感じています。余計なことをしなければ、またそのままですぐに食べれば、野菜だってナッツだっておいしいはずです。しかし、余りにも企業の都合や消費者の要求を飲み込み過ぎるばかりに、おかしなことが起きているのだと思います。流通経路が複雑で納品までに時間もかかる日本では、種類に関係なくチーズを全て真空パックにして販売したり、長持ちするようにと食品に保存料を加えてみたり、輸送中にカビが生えないように防カビ剤をかけたり、見栄えを良くしようと着色料を使ったり。こうしたことが結果的に食品の本来の味そのものを損なっているのではないかと思います。


この様な考察をしてきた結果、「ヨーロッパ各地で収穫されるアーモンドがなぜ美味しいのか?」という疑問に対して、私は一つの仮説を立てました。それは、添加物の無い自然食品のアーモンドでも、それが日本で出回る為には、先ほどの例のように様々な添加物が加えられたり、包装されたり、或いは予め日本向け用に生産され、始めから何らかの農薬を使い、それがナッツに残留している可能性が高いということなどが肌にぶつぶつが出る原因なのかもしれないということです。またアーモンドを劣悪な植物性油脂を使って加工しているものもあります。自分で殻を割ったシチリアのアーモンドの茶色い渋皮は、とても強く実にしっかりとついてなかなか爪でも剥がせません。しかし、日本で売っている一部のアーモンドの皮は、指で簡単に取れるものがあります。アーモンドを焼いて植物性油脂を振りかけているのでしょうか?その油が販売前に徐々に酸化して、体に良くない物質に化学変化してそれが蕁麻疹を引き起こす原因になっているのかも知れないと。


外国に行かないで、日本でずっと暮らしていると日本は安全で美味しいものが何でも揃うとても便利な国だと錯覚している消費者が少なくないと思います。でも、今の私にはそうは見えません。むしろ、食品管理がとても甘い、食品に対してだらしがないのが日本という国だと思います。行政が食品に対して有効な手段を打てないで後手後手に回ってしまう無法国家なのでは?とも感じます。つまり、「自分の体は自分で守らないければならない。」と痛感しています。国産・輸入品に関わらず、日本で手に入る食品には本来の味がもうしないか歪められた食品がとても多いです。私達のようにシチリア島でアーモンドを食べたことのある日本人は皆無に近い数です。それ故、誰もが「苦味のするのがアーモンドというナッツだ。」と認識したり、「この程度の味だ。」とか、「アーモンドなどのナッツ類を食べると、肌にぶつぶつが出るものだ。」と記憶してしまうのだと思います。本来のアーモンドの味を知らないままに、日本で流通している物だけを食べていれば、そう思っても仕方の無いことかもしれません。「アーモンドもピスタチオも実はとてもおいしいナッツです。」と私ははっきり言えます。


食べ物に必要なことは、美味しいかどうかです。日本では「安全な食べ物。」というのを売りにしている食品会社がありますが、本来安全で無いものは食べ物とは呼べません。食品が安全であることは当たり前のことです。こうしたことを言うこと自体、よほど日本では安心出来ない食品が多いということを意味しているのだと思います。


私達は皆さんに是非、イタリアやフランスなどへ行って本来のおいしい食べ物をいろいろと食べてほしいと思います。(しかし、ルートの決まった団体旅行ではそれは叶わないと思います。)日本で出回っているものだけを食べる生活では見えてこなかったことが、いろいろと見えてくると思います。そして、今まで食べられなかった食品が好きになったりするきっかけになると思います。いろいろな国家から成り立つヨーロッパは、長い市民運動の歴史があり、それだけ消費者の目も厳しいです。とても成熟した民主的な地域国家だと思います。それ故、情報公開にも長い歴史があり、禁止すべき食品添加物の法案可決も日本とは比べ物にならないほど迅速に実行されています。日本では今も学校給食にも出回っているマーガリンの危険性を認識して随分前からその使用を禁止したり、タバコの害やアスベストの発癌性についてもその問題をいち早く行政が認めて日本よりも10年以上前から禁止しています。そこが日本やアメリカなどのようにいろいろな近隣諸国の視線を受けにくい、受けても無視してしまうような島国国家とは大きく違うところだとも思います。


今後日本にはもっと厳しい目を持った賢い消費者が増えていかないと、いつまで経っても食品業界の悪事が無くなることは無いと思います。「食べても肌にぶつぶつが出来ないアーモンドもある。」これが真実なのです。



アーモンドなどのナッツで手や顔にぶつぶつが出る理由は何か?