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こうして輸入したいオリーブオイルを選びます。



今回は、私達がどういう風にしてオリーブオイルを選んでいるかについて、ある日の様子をお伝えしようと思います。チーズマーケットでは、主にイタリア産のオリーブオイルを輸入しています。年に1回か2回は、ヨーロッパ各地で開かれる食品見本市に出かけて、おいしいオリーブオイルを探しています。今回は、10月にパリ郊外で開かれたSIAL2006に行ってきました。そこではイタリアから多くの生産者や農業組合やオリーブオイル協会などが、それぞれ趣向を凝らしたプロモーションをしていました。今回は、あいにく二人とも風邪を引いてしまい、いつもの感覚で味見ができる状態ではなかったのですが、それでもとてもいい経験になりました。何故なら、体調が悪い時にそのオリーブオイルがおいしいと感じるというのは、相当にそれがおいしいことだったのだと実感する事になったからでした。SIALの会場でそうしたオリーブオイルとめぐり会ったことは幸せです。そして、再度日本に戻ってから味を確認したかったので、担当者にお願いをしてサンプルとして小さいボトルを頂きました。今週は、帰国して2週間が経って、二人の体調も整ったので、栓を開けてもう一度試飲をしました。下の写真がその時の様子です。

次回の輸入の候補としてサンプルを頂いたオリーブオイルと今チーズマーケットで輸入しているオリーブオイルとを比べます。

これまでにチーズマーケットで輸入しているオリーブオイルは、現地で100種類から200種類を試飲して選ばれた中の、たった4種類のオリーブオイルを販売しています。まずは、そうしたチーズマーケットのオリーブオイルと今回のオリーブオイルを飲み比べて対象となるオリーブオイルの実力?を見るのです。上の写真では、右端がシチリア島でアントニーノさん達が生産するハイスタンダードのオリーブオイル(OL18)です。そして、真ん中と左端が今回テストするオリーブオイルです。右から順番にお皿にたらして、そのお皿を手のひらで温めてから立ち上がる香りを確かめます。そして、フランスパンなどの塩味だけのパンにつけて口に入れます。パンがあることでよく噛むので、口の中でも味を確かめやすいのと口からこぼれ出す香りも分かるのでこれはいい方法だと思います。

何度も食べたり飲んだりすると舌と喉が疲れますので、素早く試します。りんごは口をリフレッシュするのに使います。

次のオリーブオイルを試す前には、りんごを少し切って食べます。口の中がリフレッシュします。そして次のオリーブオイルへと進むのです。うーん、今回体調が悪いのにもかかわらずSIALで食べてみておいしいと思ったオリーブオイルは、今試してもやっぱりおしいものばかりでした。しかし、今私達が輸入しているこのアントニーノのオリーブオイルも相当レベルが高いおいしいオリーブオイルであることも再認識出来ました。そして、二人でどれが良かったかを話し合います。多くは二人の意見は一致します。次にテーブルの向こうで美奈子店長は、今回輸入を検討しているオリーブオイルについての資料を開いて調べ始めます。産地や生産量、オリーブの品種、そしてオーガニックであるかどうかと最低輸入数量と価格です。試飲する前には値段などの情報を頭に入れてしまうと公正な判断に影響するので、こうした事は試飲をした後で見るようにしています。

美奈子店長が生産地域や生産量、オーガニックの有無などの資料を調べています。

この中では、上の写真の左端のオリーブオイルが一歩リードして美味しかったです。これは、トスカーナ州産のオリーブオイルでした。真ん中のオリーブオイルもとても味しかったのですが、アントニーノと同じシチリア島産で風味も似ていたので今回は輸入しない事にしました。これから、この生産者やミラノにいる運送会社のイタリア人と連絡を取りながら、輸入の条件やタイミングを詰めて行くことにします。
 
輸入を決める条件にはいろいろな点がありますが、まずは自分で日常で使いたいほど、好きかどうかが一番です。そして、チーズマーケットのお得意先である飲食店さん達がどれ位気に入ってくれるかも重要な点です。何故なら気に入ってくれると長くそのオリーブオイルをメニュで使ってくれるので、在庫がだぶつく事もなくなり、常に新しいオリーブオイルを輸入できて、それが品質の更なる安定しにつながるからです。その為にも、普段からいろいろなシェフさんたちとお話しをしたり、こうしたサンプルを持って行っては実際に飲んでもらい、好みを聞いて置く事も事前の準備としては重要な営業になります。こうして、お料理をする人達の意見も聞きながら、最終的な銘柄を絞りこんでいくのです。
 
最近よく思う事は、美味しいものはみんなで分かち合わないといけないということです。自分だけおいしいものを食べたり、自分だけお金や時間があってもしょうがないのです。それでは本当の意味で幸せには成れないと思っています。その為には、良い物を出来るだけ買いやすい価格で提供することも必要だと思っています。価格が抑えられれば飲食店さんも使いやすいので、お店を通して多くの人が良い品質の食品を口にできるようになります。また、チーズマーケットで直販することで、手軽にご家庭でもその美味しさを私達と共有できるようになるからです。そして、そのオリーブオイル生産者にも正当な対価を直接お支払いして、それぞれの人が納得できる価格になって、いい関係が長く続いて行ければ良いと思います。たった一本のサンプルから新しく始まる多くの人との出会いが、輸入をしていて最も良かったと感じる事なのです。


こうして輸入したいオリーブオイルを選びます。