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オリーブオイルの品質に影響を与えるものと保存方法と輸入方法



今回は、6年前からオリーブオイルを日常で使ってきた私達がどのようにオリーブオイルを輸入し、そして販売し、自分達でどのように保存しているかについてのお話です。何かの役に立てば嬉しいです。

1.オリーブオイルの保存方法は?
 
まず初めにオリーブオイルが最も影響を受けるのは、次の中でどれでしょうか?   1温度   2 酸素   3 光
 
正解は、3の光です。光は、オリーブオイルの品質を損ねやすいと考えられています。次に問題なのが、空気中に含まれる酸素です。また、オリーブオイルの温度変化が問題になることは余りありません。(しかし、ずっと高温は良くありませんし、短時間に高温→低温→高温などといった激しい温度変化も良くありません。)
 
下の写真をご覧下さい。これは、10月に訪問したシチリア島のオリーブオイルのメーカー、コッレ・サン・ヴィターレのオリーブオイルを貯蔵しているタンクです。代表のアントニーノさんの話しによりますと、収穫したオリーブを同じ日に搾ってオリーブオイルにした後に、すぐにこのタンクに移して保存するそうです。その際に、オリーブオイルを劣化させない対策として、次の点に気を付けているそうです。

 
・光を入れない工夫・・・金属製のタンクを使っています。(ここではステンレス製を使っています。)ご存知のように金属は、光を一切透過させない性質があるので、この性質を利用してあらゆる光からオリーブオイルを守っているのです。
 
・酸素による酸化を防ぐ工夫・・・自然界には不活性ガスと呼ばれるガスが数種類ありますが、その中でアルゴンという名前のガスをタンク内に充填して、全く酸素が無い状態にしています。これらのガスは、とても安定しておりどんな物質とも化学変化をしません。この性質を利用してオリーブオイルを化学変化させずにいつまでも搾り立ての味わいを保っているのです。

次の問題です。下の写真の一般家庭で使うオリーブオイル入れで、光の影響を受けにくいのは?
 
正解は、左の陶器製のオリーブオイル入れです。しかし、金属製のオリーブオイル入れであれば、なお良いでしょう。こうしたオリーブオイル入れでしたら、蛍光灯が当たるテーブルにずっと置いても、品質を損なわずに使うことが出来ます。また、右のガラス製のボトルは、たとえ色ガラスであっても、光を完全には遮断できないので、長期間の保存には適しません。こうしたガラス瓶ですと、ずっとテーブルに置かず、使い終わるたびに流し台の下などに収納することが必要です。もしいつでもテーブルに置きたい場合は、金属製や陶器製のオリーブオイル入れに移し替えて使うといいでしょう。また、もしもこうしたオリーブオイル入れが無い場合には、アルミホイルでガラス瓶を外から巻いて包み込み、光を遮断することも手軽で確実な方法なのでお勧めです。



最後にオリーブオイルと温度についてのお話しです。
 
オリーブオイルは、高温を嫌います。また10度以下ですと固まります。それ故、普段オリーブオイルを使う場合には、大体10度から20度ぐらいの涼しい場所に保存するといいでしょう。では、冷蔵庫はどうでしょうか?オリーブオイルを月に一度ぐらいしか使わない様な方なら、冷蔵庫保存でも構いません。しかし、日常的に使う場合には冷蔵庫ではなく、冷暗所がいいでしょう。


2.最適なオリーブオイルの輸入・輸送とは?

チーズマーケットでは、イタリアから日本までオリーブオイルを運ぶ場合には、飛行機でわずか半日で札幌に着くように輸入しています。これにより、日本についてからのオリーブオイルの消費期限もより長くなりますし、そして何より輸送中のオリーブオイルの劣化を未然に防ぐことが出来ます。しかし、日本で売られている輸入オリーブオイルのほとんどは、船便です。イタリアから日本まで一ヶ月以上もかかり、途中でとても暑い赤道地域を2回も通過します。その期間もずっとドライコンテナ(エアコン無しの暑い部屋の様)の中にオリーブオイルが置かれています。日本で売られているワインもこうしたドライコンテナによる船便の輸入がほとんどです。ワインが高温になることで、体積が増してコルクが浮き上がる現象もよく見られます。ひどい時にはコルクからワインが噴き出し、ラベルが汚れたワインも見かけます。(こうした理由から、”ワインしみ”のあるラベルのワインを買ってはいけないのです。)当然、オリーブオイルにとっても高温はよくありません。空輸の費用は船便の数倍かかりますが、オリーブオイルの持つ本来の品質を保ったままで日本に運ぶことが出来ます。そしてチーズマーケットでは店頭やネット店で直接一般消費者とつながっているために、そうした費用も価格に転嫁せずに、高品質をリーズナブルな価格で提供出来るのです。
 
では、もっと詳しくチーズマーケットのオリーブオイルの輸入方法を見てみます。もしもその輸入貨物がチーズと一緒なら、オリーブオイルも冷蔵で空輸します。もしもオリーブオイルだけの貨物ならば、そのまま常温で空輸しています。しかし、ご存知のように空輸の場合には、常温といいましても、飛行機は行程のほとんどを高度1万メートルほどのとても寒い上空を飛んでいる関係で、スーツケースなどを積み込んだ貨物室はそれなりに低温になっているようです。(一例をあげますと、旅行時に到着した空港でスーツケースを受け取ると、夏でも荷物が冷たくなっている事に気が付くことが時々あります。)私達も、貨物が新千歳空港に到着したばかりでオリーブオイルを受け取ると、オリーブオイルは固まっていることがよくあります。しかし、このオリーブオイルの低温での輸送は、品質にとっては悪いことではなく、むしろ良いことではないかと思います。
 
それはどうしてかと申しますと、輸送中はオリーブオイルはとても揺れ動かされます。高温や常温ではオリーブオイルは液体なので、輸送中によく振られます。つまりオリーブオイルの分子運動が活発になり、僅かですが瓶に入っている空気とも酸化しやすい状態と云えます。しかし、冷蔵輸送の場合ではオリーブオイルが固まっているので、揺れても瓶の中のオリーブオイルが動くことはほとんどありません。つまり分子運動も僅かで、瓶内の空気との酸化も起こりにくいと云えます。こうしたことからもオリーブオイルは輸送中も分子運動が小さくなるように、高温よりも低温がいいと考えられます。
 
同じ理由から、チーズマーケットでお買い物をされたお客様にオリーブオイルをお送りする場合にはこのように2通りの方法でお届けしています。チーズとオリーブオイルの両方をご注文された場合は、オリーブオイルも冷蔵でお送りしています。オリーブオイルだけのご注文の場合は、常温でオリーブオイルをお送りしています。お届けまでに2、3日ぐらいなので、両者の差はほとんど無いといってもよいでしょう。
 
最後にオリーブオイルが固まることについてです。市販の全てのオリーブオイルが低温になると固まるわけではありません。チーズマーケットで輸入する特に良質なエクストラヴァージンオリーブオイルでは固まりやすいようです。フィルターを使わずオリーブの実に含まれる様々な自然の香り成分やビタミン類、細かい果肉などがオイル分と共に含まれているので、固まりやすいのです。一方、こうした一番搾りを終えて残ったオリーブの搾りかすも棄てずに最利用されます。たくさんの搾りかすに化学薬品などを加えて高温・高圧でとことん搾り出して別のオリーブオイル(風味がない)を生産します。こうしたものは低温でも余り固まらないのです。つまり、オリーブオイルが固まるというのは、そのオリーブオイルの品質の高さも証明しているのです。どうぞ、安心してお召し上がりください。
 
以上をまとめますと、「オリーブオイルの輸送は、短時間・短期間に行い、なるべく温度が上がらないように注意することが大切。」ということです。


オリーブオイルの品質に影響を与えるものと保存方法と輸入方法