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マルシェで地元産の良質な食料品を手に入れる方法



今回はフランスなどで地元産の質の良いおいしい食品を買い方をお伝えしたいと思います。これでいろいろな地方のマルシェ巡りがぐんと楽しく確実なものになります。

Dusay の朝市。質の高さにとても驚かされたマルシェでした。

上の写真はモン・サン・ミッシェルに東に少し行った町、Dusay の朝市です。 前日に行ったサン・ロー(St-Lo)に比べ、とてもとても小さな町なのでどうかなぁと思いましたが、個性的な店が多く素晴らしいマルシェでした。この道50mの長さに左右で2計0店ぐらいしかなかったのですが、どの店もこの地域の特産品が揃っていて素晴らしいマルシェでした。

一家ではちみつを作る養蜂家の露店。英語も堪能でサービス満点のお店でした。

それは例えば、上の写真のように蜂蜜屋さんであったり、下の写真のようにカルバドス酒専門だったりという店です。つまり、「この食品だけで勝負しています。」というような専門店を探すのがいい食品を手に入れるコツなのです。まず店頭に置かれている物がどんなものかを見極めます。大手の食品がないか? ラベルだけ貼り換えたものでないか? 単なる仕入れ商品をいろいろと並べているだけかどうか? などです。次に看板に書いてある住所も注意してみます。住所でどこなのかイメージがつかめないのでしたら、住所の中の郵便番号(5桁の数字)が何番なのかを見つけます。例えばこの地方、ノルマンディーのマンシェ(MANCHE)地方なら、 50番なので、郵便番号が「50×××」となっていれば、この食品は地元産であることが分かります。また看板の文字の中に、「VENTE DIRECTE」(直接販売)や「Artisan」(職人の、手作りのもの)とあれば参考になります。そして、何といいましても、どんな人物が売っているのかというその人間の顔を見ることです。これが一番参考になる情報だと思います。こうした観点を頼りに露店をぐるっと見て回り、自分が買いたい店を選ぶことが出来れば、もう地元産の素晴らしい食品を手にしたものと同然です。

いろいろな年代のカルバドスを売っていた生産者の露店。自信に満ちた顔をしていました。

どうして専門店がいいのかと申しますと、それだけで勝負していける力がその店にあることをその店がずっと存在していることで証明しているからです。また、何でも売ばいいという店ではないと思うからです。しかし日本では、専門店は広く認知されていません。質の高さに目が向かず、見た目の品数に目を奪われる一般消費者。質よりも何でもいいからいろいろな物が置いてある店の方が評価される傾向があるようです。でもフランスではそんなことはありません。専門店やこうしたマルシェの存在価値が市民の心の中にしっかりと大きな存在として長年受け継がれています。確かにこちらでもスーパーマーケット(こちらでは、スーパーマルシェといいます。)やデパートにはいろいろな食品が数多くあります。でも、それは全て平均的な質の物があるだけのことで、私達が欲しい食品は余りありません。大型店では、各地方の特徴的な食料品までをも揃えることは出来ないのです。しかし、こうしたマルシェでは、確実に地元産の特徴的な食料品が揃っているのです。これを見逃す手はありません。その食品を生産した人や加工した人が直接売っていることで、いわゆる顔が見える店になっていて、どんな質問にも答えられる良さと家族が作った料理の様な安心感がこうした店にはあるのです。

カルバドスとシードル専門の露店。写真の左にある青いクーラーボックスには、試飲用に冷えたボトルがありました。

残念ながらこうしたマルシェは日本にはほとんどありません。各デパートが開く各地方の物産展はありますが、生産力が大きいそれなりの業者が集まっただけのもので、フランスのマルシェのようにわずかな生産量の食品とは質が大きく違うのです。また何といましてもデパート主催なのでかなり割高になります。私達は日本の多くの方にフランスの伝統あるマルシェの良さを知って欲しいと思います。そこから多くの本来美味しい野菜や肉、加工食品を食べたりする経験が得られます。この経験がとても大事だと思います。こうした美味しいものを味わえば、日本で流通して広く食べられているものが如何に工業的なものであるかに気が付き、愕然として、どうすればいいのかと自分自身に矢印が向くようになります。そして食べ物本来の美味しさに気が付いて、食べる事の大切さや楽しさに気が付かれると思います。一食でもおろそかにしていい食事はありません。毎日、毎日どんな質のものをどれくらい時間をかけてどう食べるかで、人それぞれの思考は大きく変わっていくと思います。感動する味を年に何回かでも見つけられれば、それがエネルギーとなり、大げさかも知れませんが、生きることがより楽しくなるのではないかと思います。チーズマーケットでは、各地方のチーズの生産者を取材しながら、このようなマルシェにしか出回らないような顔の見えるチーズを輸入して格安でご紹介していきたいと思います。


マルシェで地元産の良質な食料品を手に入れる方法