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パルミジャーノレッジャーノチーズの切り方(イタリア・モデナ)



今回は、パルミジャーノレッジャーノの切り方についてです。イタリア人にとっては、ただ切れば良いというのではなく、より美味しく見せるためにどんな切り口にした方がいいのかにも心を砕いているようです。




パルミジャーノレッジャーノを切るための3本のナイフ。

 

1.パルミジャーノレッジャーノは元々はこのようなナイフ3本だけで切っていました。そうすると、切り口がでこぼこになります。その不揃いの切り口がイタリア人が頭に浮かべるおいしいパルミジャーノレッジャーノのイメージなのだそうです。

パルミジャーノレッジャーノの切り口。つるつるの部分とでこぼこの部分が互い違いになっています。

 

2.これは現在のイタリアの店頭で見かけるパルミジャーノレッジャーノの切り口様子です。確かにごつごつした表面になっています。

チーズマーケットのピアノ線カットによるパルミジャーノレッジャーノ。

 

3.一方、こちらはチーズマーケットの切り方です。全てのカットをピアノ線で行なっていますので、どのカット面もでこぼこにはならず、まっすぐで見た目がきれいです。しかし、イタリア人にとっては、でこぼこの切り口のほうがパルミジャーノレッジャーノが美味しく感じるそうです。しかし、とても時間がかかる3本ナイフ方式を今もなお続けているのでしょうか? この旅の中で大きな疑問が沸いていました。

イタリアでのパルミジャーノレッジャーノ用の特製刃。この形に秘密があったのでした。

 

4.その疑問がこのパルミジャーノレッジャーノの工場で解けました。そうなんです、ちゃんと機械化が進んでいました。でもカット面はでこぼこになっています。その秘密は、カットする刃の形にありました。刃の3ヶ所が欠けたようになっていますね。刃のある部分はスパッと切れますが、刃が無い部分はチーズがでこぼこになります。

下の白い台には、目盛りが付いていますので、それを見ながら切る大きさを調節します。

 

5.このわざと欠けた刃を使うことで、昔ながらの3本ナイフ方式と同じようなでこぼこの切り口を再現できたのです。

この機械一台でいろいろなことができる優れものでした。

 

6.では、ここからパルミジャーノレッジャーノを塊から小さく切っていく方法を順を追って見てみましょう。まず、カット台の上にパルミジャーノレッジャーノを載せます。まず水平に真っ二つに切るための印のスジを表面につけます。

カット作業も製造時と同じく服装も整えています。食べ物なので清潔感がとても大事です。

 

7.次に写真の赤い部分からピアノ線が延びてきますので、それをパルミジャーノレッジャーノの外形につけたスジに合わせます。スイッチを押すとその線でピアノ線が赤い方に引っ張られてパルミジャーノレッジャーノが切れてきます。

この写真では見えませんが、長く熟成されたパルミジャーノレッジャーノなので、切り口にグルタミン酸などのうまみの結晶の粒がとても大きかったです。あー、食べたいなぁ。

 

8.見事に真っ二つに切れました。とてもいい香りが漂ってきました。このパルミジャーノレッジャーノは2002年10月製造(30ヶ月経過)のものでした。

真空包装は大体1キロから1.2キロが主流です。この大きさは、パルミジャーノレッジャーノの32等分になります。

 

9.あとは先ほどの欠けた刃を使って切ることで、全てのカット面をでこぼこにしていくのです。

カットしたパルミジャーノレッジャーノの角が鋭利ですと真空包装の袋に穴があくので、角を丸める作業も必要なのです。

 

10.真空包装にする前にグラインダーでパルミジャーノレッジャーノの角々を削っていました。粉が飛び散るので工業用のめがねを付けての作業です。こうしたカット・包装の作業も彼ら職人さんがパルミジャーノレッジャーノを作る合い間に行なっていました。もちろん、カット室は店の後ろ側すぐにあるので、お客様が来れば手を止めて接客もします。小さい工場と店なので出来ることは何でも自分達で行なっているのです。ですから、いつも同じ人がチーズを扱っているので、いつも安定した品質を維持できているのだと思います。食べ物を扱う仕事では、「しっかりとした哲学を持った数人がいて、全ての過程に目が行き届くような規模がいい。」と再認識した取材となりました。



・第1話;「パルミジャーノレッジャーノの外形をぐるっと紹介します。」 


・第2話;「パルミジャーノレッジャーノの表面にあるスタンプや焼印 その1」


・第3話;「パルミジャーノレッジャーノの表面にあるスタンプや焼印 その2」


・第4話;「いろいろなパルミジャーノレッジャーノ。えっ? 」


・第5話;「パルミジャーノレッジャーノになれなかったチーズの保管棚 」


・第6話;「パルミジャーノレッジャーノの牛が食べるもの 」


・第7話;「パルミジャーノレッジャーノの牛の生活 」


・第8話;「パルミジャーノレッジャーノの牛の品種 」


・第9話;「パルミジャーノレッジャーノを作る朝と夕のミルクと銅丸釜 」


・第10話;「パルミジャーノの作り方1(ミルクを銅釜で固めます編) 」


・第11話;「パルミジャーノの作り方2(銅釜からカードを出します編)」


・第12話;「パルミジャーノの作り方3(一つのカードから2つのパルミジャーノに)」


・第13話;「パルミジャーノの作り方4(カードをレッジャーノの型枠に入れます。)」


・第14話;「パルミジャーノの作り方5(これで午前中の作業が終了します。)」


・第15話;「パルミジャーノの作り方6(パルミジャーノの外周に刻印をつける工程)」


・第16話;「パルミジャーノの作り方7(パルミジャーノ・レッジャーノのソルティング)」


・第17話;「パルミジャーノの作り方8(熟成庫でのチーズの様子)」


パルミジャーノレッジャーノチーズの切り方(イタリア・モデナ)